にきび・吹き出物
ニキビは、思春期に盛んに分泌される性ホルモンの影響で皮脂分泌が増え、更に毛包漏斗部の角化異常による閉塞を生じた結果、皮脂が毛包内に貯留して面皰になることから始まります。
面皰内は皮脂が豊富でアクネ桿菌が増殖しやすい状態にあり、丘疹や嚢胞となります。さらに炎症が拡大すると、嚢腫や硬結が生じます。思春期ニキビは中学生ころに発症し、高校生で症状が悪化し、大学生になるころには軽快し、数年で治りますが、思春期後のニキビが最近増加しています。
思春期後のニキビは、一般に難治とされ、数年以上の経過となることが多いです。長期にわたり、軽快と再燃を繰り返すと、瘢痕となり、容姿に影響することから、早期の積極的治療をお勧めしています。
治療
以前は抗生剤外用薬やイオウ製剤などが使われていましたが、2008年から面皰に対して有効性の高い外用レチノイドとしてアダパレン製剤(デフェリンゲル)が承認されました。抗生剤外用剤は急性期に使用するとよく効きますが、薬剤耐性菌が出てきて、やがて使用しても全く効かなくなるということが起こってきました。
そこで2014年耐性菌対策として過酸化ベンゾイル(ベピオゲル)がようやく承認され、アダパレンと過酸化ベンゾイルの合剤(エピデュオゲル)も出てきました。抗生剤外用剤としては、グリンダマイシンゲル(ダラシンゲル)や2016年から承認された耐性菌の少ないニューキノロン系外用剤としてオゼノキサシンローション(ゼビアックスローション)を使用します。
硬結や嚢腫のようになってしまった場合は、抗生剤の内服も使用しますが、乱用すると耐性菌が出来てしまい、全く効かなくなりますので、慎重投与となります。
これらの治療をまず4か月程度は頑張っていただきます。効果の高い外用剤は副反応も強く出ることがあり、治療を挫折しないように診察しながら投与していきます。
4か月以上上記の治療を続けてもなかなか良くならない場合は、ホルモン療法(ピル外来)の併用、ピーリングの併用、栄養療法(サプリメント外来)、ポテンツァ、イソトレチノイン療法をご案内します。
イソトレチノイン療法とは:イソトレチノイン内服は海外で重症のニキビ治療に広く用いられている治療で97~98%の患者で改善がみられるという報告があります。イソトレチノインは皮膚のターンオーバーを促進し角質を薄くするとともに、皮脂の分泌を減少させ重症のニキビを改善させます。通常6ヶ月で1クール終了となります。効果が非常に高く中止後もリバウンドを起こしにくいといわれています。
ただし、重大な副作用を生じることがあるため、リスクを十分に理解できる患者さんにのみ処方致します。